伝え方がすごく大事!~「親にスマホをもっと使ってもらう本」(増田由紀著)

スマホ・パソコン教室を長く運営されていて、とりわけシニア世代向けスマホ活用レクチャーで強い支持を集め、「70歳からのスマホの使いこなし術」「70代からのiPhone」などの著書も大人気の増田由紀さんの新著。
▼家族みんなが楽になる!親にスマホをもっと使ってもらう本(日経BP)

「きっと和田さんの見守りテックにも通ずる内容だから」と知人の編集者に一冊いただいて読み始めてすぐ、深く納得しました。
「こりゃ、人気なわけだ!!!」
親にスマホを活用してほしいと思っている方はもちろんなんですが、それ以外の方で高齢の親の介護や見守りなどが今後の課題という方、見守りテックに興味を持っている方にとってもきっと役立つ内容です。というのも、この本から学べるのは単にスマホ活用の教え方だけじゃない。
「親に何か新しいものを使ってもらう時、どう伝え、どう誘導するか」
が、具体的な事例とともに学べるからです。
スマホを日常的に使い慣れている世代にとって、タップの仕方、アプリを開いた後のホームへの戻り方、QRコード利用など、すべて感覚だけでやってしまっているので、初心者にいちから説明しようと思うと、実は難しかったりもします。教わる親側からは、何を言っているのか単語の意味すらわからないということにもなりかねません。
私も、母親にスマホをプレゼントしてから何年もの間、帰省のたびに手取り足取り教えてきたのですが、この本に出会い「これを一番最初に読んでいたら、全く違った展開になっていたよな」と思いました。

ちょっと雑過ぎるモザイクでごめんなさい。
この本を読んでいて、実感したことがあります。
人に、とりわけ初心者に何かを教えるスキルにたけている人というのは、「たとえ」の見つけ方やその描写が実に絶妙です。たとえばこの本では、子供にサポートしてもらってスマホ基本操作を覚えていく過程を、幼少期の自転車練習に例えています。
タップの感覚を一度指が覚えれば、頭で考えなくとも自然とできるようになります。自転車の乗り方のようなものですね。ただ、自転車に乗れるようになるまでは、みなさんも、だいぶ練習したのではないでしょうか。
わたしも子どものころの週末、父や母に荷台を支えてもらいながら、自転車の練習をしたものです。
「絶対離さないでよ!」と叫びながらも、いつのまにか親の手はそっと離れていて「一人で走れてる!」と気づいたときには、父がうれしそうに笑っていました。
私はここだけでも何度も繰り返し読んでしまいました。自転車練習の風景が目の前に浮かんでくるとともに、認知症になって指先の細かな操作が難しくなり、使いこなしていたはずのスマホが苦手になってしまった母に、タップの仕方を必死に説明していた自分のことを思い出しました。
「もうスマホは無理かな」
私は結局あきらめてしまい、声で操作ができるスマートスピーカーとスマートディスプレイの活用へと舵を切りました。それによって母がLINEを使って家族以外の人達とやりとりするという道もどんどん細くなってしまったことを考えると、もう少し「教え方」を工夫して粘るべきだったなと。

タップ=「画面を押す」だけでは伝わらない時もある。
その時、より相手がイメージしやすい、そして実践に移しやすい説明の仕方はどいういうものか。こんな説明の仕方は、たんに思い付きだけで出てくるものではないと思います。リアルのスマホ・パソコン教室を長く運営し、そしてオンライン講座も含め膨大な数の人たちを教えてきた中で試行錯誤して、「これだ!」というものを見つけ出し、ブラッシュアップしてきたものなのだろうなあと。
そんな教え方ノウハウが、一冊の中にぎゅっと詰まっています。
親に何か新しいことを教えるのは、とりわけ父親が相手だと、「それはいいよ」と断られたり、反発もされやすかったりで難しいケースがありますが、本書に登場するSさん一家4人の会話を見ていると、子供側の発言にもいろいろ問題があり、それと同じことを自分自身がしてしまっていることに気付かされたりもします。
たとえば息子が「スマホなんて簡単だよ」といって、父親が一瞬ムッとするシーンが登場します。私もつい「そんなの簡単だよ」と言いがちでしたが、その発言は本当に適切だったのか。第三者視点で読むと親側の心理もよく理解でき、「無意識にでてしまう上から目線な言い方を封じ込めなくちゃダメなんだな」と思ったりもします。
本自体は文字も大きく(助かる!)、サクッと読み進めることができます。次の帰省で、スマホあるいはそれ以外のデバイスやサービスなどを親に勧めようと思っている方、本当におススメの一冊です!
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