
熱中症対策や「リモコン操作が苦手になった」高齢親のサポートにスマートリモコン「Tapo H110」
「高齢の親の見守りやサポートにおススメの製品を3つ教えてください」と言われたら、私は「スマートリモコン」「スマートディスプレイ」「人感センサー」をあげます。どれも、本来は高齢者ケア製品ではありませんが、高齢者と家族の課題解決にとても役立つからです。
中でもぜひ知っておいてほしいのが「スマートリモコン」。実際に使ってみないと理解しにくい製品ですが、今回ご紹介する「Tapo H110」なら3000円台ととてもリーズナブルな価格なので、まずはご自身で試してみるのにもぴったりです。
INDEX
- スマートリモコンってそもそも何?
- スマート温湿度計とセット導入で熱中症対策
- スマートスピーカー/ディスプレイと組み合わせれば音声操作ができる
- Tapoアプリ画面でエアコンやテレビのリモコンを登録
- 遠隔操作や自動化の設定も簡単
- 他のTapoブランド製品と組み合わせればもっと便利に
スマートリモコンってそもそも何?
家電量販店で「汎用リモコン」を見たことがある方もいるでしょう。通常は、エアコンやテレビを購入した時に一緒に同梱されているメーカー純正リモコンを使いますが、汎用リモコンの場合、様々なメーカーのテレビや照明器具などに使うことができます。
仕組みは簡単。純正リモコンと同じ赤外線信号を発信するようにセットすることで、ON/OFFやチャンネル変更などができるようになります。
同様にスマートリモコンも、メーカー純正の赤外線リモコンと同じ赤外線信号を発信することで、エアコンなどの家電を操作することができます。ただ汎用リモコンと違うのは・・・
▼TP-Link公式サイト「スマートリモコン&ハブ Tapo H110」
本体にはボタンが何もないことです。家電製品を操作する時には、スマホアプリ上のバーチャルなリモコン画面をタップします。操作する対象を「エアコン」「扇風機」「テレビ」などと切り替えれば、家の中の様々な家電製品をすべてスマホアプリから動かせるのです。
さらにすごいのは「遠隔操作」。スマートリモコンをWi-Fiでインターネット接続して使うことで、遠く離れた場所からでも家の中の家電製品の操作ができます。またスマホアプリ上で「毎朝6時に暖房をつける」などスケジュール設定すれば、毎日自動的にエアコンが動き出すようになりますし、スマートスピーカーやスマートディスプレイと連携すれば、「アレクサ、エアコンをつけて」など声だけでも冷房をスタートさせることができるようになるんです。
もちろん今まで使ってきた純正リモコンもそのまま使えるので、高齢の親がスマホを使っていなくても全く問題ありません。
スマート温湿度計とセット導入で熱中症対策
そんなスマートリモコンを実家に導入する理由は何か?
ひとつは熱中症対策です。
毎年、高齢者の家の中での熱中症がニュースになります。真夏だけでなく最近はGW前後から夏日・真夏日も増えており、秋口に入っても暑い日が続きます。そんな中、エアコンをつけずに家の中で脱水症状などになってしまう高齢者が多いのです。
私の母も、熱中症で救急搬送されたことがあります。朝から連絡がつかず、仕事を早めに切り上げて帰省したら、ベッドの下でうつぶせになって倒れていました。
節電意識が高いわけではありません。加齢で暑さを感じにくくなり、さらに汗もあまりかかなくなっていたのです。認知症の初期症状も始まっていたので、エアコンをつけるよう繰り返し言ってもすぐ忘れてしまい、繰り返し電話しては「エアコンをつけて」と懇願する毎日でした。
そして「スマート温湿度計」と一緒に「スマートリモコン」を実家にセットしました(当時はまだTP-Link製品がなかったので他社製品)。その後は、本人にも事前に了承をとった上で、温度が一定以上になったけど親がなかなかエアコンをつけてくれない時には私が遠隔でエアコンの冷房をスタートさせ、連日30度越えとなる真夏には、一定温度になったら自動で冷房をONにする設定にしました。
おかげで「エアコン!エアコン!」連呼電話はなくなり、私の不安やストレスも大幅に減りました。
スマートスピーカー/ディスプレイと組み合わせれば音声操作ができる
もうひとつ、スマートリモコン導入で解決するかもしれない高齢者特有の課題があります。それは「リモコン操作が苦手になってしまう」ことです。
特に認知症が始まると、こうしたボタンがたくさんついているものの操作が苦手になる人がいるようです。私の母もそうでした。もともとスマホを使いこなしており、LINEで友人に旅行写真を送信するほどだったのですが、使い慣れていたテレビやエアコンのリモコンを手にしても、どのボタンを押せばいいのか戸惑うようになりました。
余計なボタンを押して(地上デジタルしか写らないのに衛星ボタンを押すなど)、テレビが映らないと電話をかけてくることもたびたび。
そんな時、スマートリモコンと「Alexa(アレクサ)」や「Googleアシスタント」などのAIアシスタントを連携させることで、スマートスピーカーを使って声だけでエアコンをつけたり消したりすることができるようになるのです。

AIアシスタントとの連携は、アプリ上で簡単にできます(事前にAlexaやGoogleアシスタントのアカウントを作っておく必要あり)。そしてこの設定だけ済ませておけば、後は音声だけでエアコンをつけることができます。
もちろん「従来のリモコンのほうがわかりやすい」という方もいると思いますが、両方できるようにしておけば、
- リモコンをどこに置いたかたびたびわからなくなる
- 骨折などしてリモコン操作が難しくなる
なんて時に声での操作ができるので、いざという時にも安心です。
Tapoアプリ画面でエアコンやテレビのリモコンを登録
「でも自分に使いこなせるかしら」と心配なら、まずは実家ではなくご自宅で実際に使って試してみてください。Wi-Fi環境さえあればすぐに利用可能ですし、製品代金だけで、月額利用料などは不要です。
最初だけちょっと戸惑うかもしれませんが、Tapoはアプリ上の使い方ガイドもかなり丁寧に作り込まれているので、一般的なスマホアプリを使える人であれば何も問題はありません。
これが、家電製品を登録する画面です。使いたい家電製品のジャンルを選び、次にメーカー名を選択します。そうすると候補のバーチャルなリモコンを提示してくれるので、画面をタップして実際に家電製品が動くかどうか確認します。
ダメなら次の候補を試してみましょう。全部うまくいかなくても、手作業でボタンを一個ずつ登録していく方法もあるので大丈夫です。
ただ3点、注意事項があります。
- Wi-Fiは2.4Ghzのみ対応
- スマートリモコンは赤外線信号が届く範囲に置く必要がある
- 赤外線信号がない家電製品の操作はできない
最近のWi-Fiルーターでは2.4Ghz帯と5GHz帯の両方が利用できるものも多いと思いますが、スマートリモコンの設定の際には、2.4Ghz帯を選んでください。
スマートリモコンと家電製品の間は、赤外線通信です。たとえば一戸建ての場合、一階から二階の寝室エアコンをリモコン操作しようとしても厳しいと思いますが、スマートリモコンも同じです。赤外線信号が届く距離にスマートリモコンが置かれている必要があります。
たとえばリビングと寝室それぞれに設置したエアコンをスマートリモコンで操作したい場合には、基本的には2台のスマートリモコンが必要になります(部屋が近接している場合などは1台でコントロールできることもある)。
また、赤外線リモコンがもともとついていない製品をスマートリモコンでコントロールすることはできません。例えば古い家の天井照明は、壁スイッチと紐だけということもあるでしょう。それだとスマートリモコンは使えません。
その場合も、例えばこんな、引っ掛けシーリング型の照明器具をリモコン操作できるようにする製品を間にはさむことで、スマートリモコンでコントロールする方法もあります(一例:DiCUNO 照明リモコンスイッチ)。
遠隔操作や自動化の設定も簡単
遠隔操作をする時には、アプリで家電製品を選ぶと、それに応じたバーチャルなリモコンの画面が現れます。ON/OFF電源ボタンや、冷房・暖房・送風などモード変更、温度設定など、一般的なリモコンと同じように使うことができます。
離れた場所からだと、本当に冷房になっているかどうかなど確認がしにくいと思いますので、実家で最初に設定した時に、ひととおりのボタンを一度試しに押して間違っていないか確認しておくといいでしょう。
また自動化設定を行うのはこの「オートメーション」の画面です。
これは毎日10時になるとエアコンが自動的に稼働するという設定です。他にもいろいろな自動化設定が可能です。どんな使い方ができるかのヒントにもなるテンプレートがいろいろ用意されているので、それを参考にしてみるといいでしょう。
他のTapoブランド製品と組み合わせればもっと便利に

Tapoでは他に、温湿度計や開閉センサー、動体検知センサーなどが販売されています。そうした製品を組み合わせて使うことで、もっと便利になります。
熱中症対策としてスマートリモコンを導入するなら、温湿度計は必須です。アプリを開くだけで、遠く離れた実家のリビングや寝室の室温がリアルタイムにわかりますし、一定温度を上回ったり下回ったりしたら、スマホに通知をする設定も可能です。
そして先程ご紹介した自動化により、一定室温に達したらエアコンを自動でONにするオートメーション設定もできます。
また動体検知センサーとの連携も便利です。テレビを消し忘れたまま寝てしまうことが多いようでしたら、センサーが検知しないまま一定時間が経過したらテレビをオフにする設定にしてもいいでしょう。
ただ気を付けたほうがいいのは、エアコンです。付けっ放しで部屋を出たのであれば自動で消しても問題ありませんが、そうではなく転倒や急な病気で動けなくなり、動体検知センサーからは死角になっているソファの影などで倒れている可能性もあるからです。その状態で真夏にエアコンを自動でオフにしてしまったら、命にもかかわります。
自分が実際に暮らしていない家での「スマートホーム製品活用」は一定のリスクもありますので、何でもかんでも自動化するのではなく、想像力を働かせて慎重に運用しましょう。
ちなみにTapoのセンサー類は、セットでお得に買えるものもあります。安否確認にも使えるので、こちらもぜひ試してみてください。
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入門編
初級編
<目的からチェック>
- 急な発病・転倒など緊急事態を早期発見
- スケジュール管理・毎日の日課リマインド
- 熱中症を防ぐ/家電製品の消し忘れチェック
- いつでも顔を見ながらコミュニケーション
- 外出・帰宅を確認/遠方から来客対応する
- リモコンが苦手になっても「声」で家電や照明操作
<モノからチェック>
- まずは手軽&安価にネット環境を作る
- 見守りの「目」になるネットワークカメラ
- 家電遠隔・自動操作するスマートリモコン
- 高齢者アシスタントはスマートディスプレイ
- 転倒や異常事態を検知するためのセンサー
- スマートドアベルで遠く離れた場所で来客応対
実践編
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製品レビュー
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見守りサービス
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