
親にスマートスピーカーをスムーズに使ってもらう工夫

「実家に設置してもうちの親、使うかな~?」
実家見守りのためのスマートスピーカー/ディスプレイ導入について、きっとこんな疑問を抱いている方も多いでしょう。
「へー、便利だね」で使わなくなった
実際、私の実家でも初導入時は失敗に終わりました。何年か前まだ父が存命中に「Google Home mini」をプレゼントしたんですが、何度か「OK Google、今日の天気は?」「OK Google、明石家さんまって何歳?」など質問して、「へー、便利な時代だ」「すごいね」で終ってしまいました。
当時はそれほど必要性がなかったのと、私自身も「親に使ってもらう」工夫を全くしませんでした。
ただ、高齢者の見守りとサポートには非常に強力な製品なので、親にも事前に親しんでもらったほうが何かと楽。そのためには「自分の役に立つ」「面白い」「どんな返事がくるか聞いてみたい」と興味をもってもらう必要があります。
また親がアクションを起こさなくても、スマートスピーカー/ディスプレイ側からアクティブに働きかける設定なども必要です。
スマートリモコンも同時導入

「これは便利だ」と思ってもらうには、スマートリモコンと組み合わせ、エアコンやテレビ、天井照明を音声操作できるようにするのが一番。音声操作は一度使い始めると本当に便利です。「ちょっと寒いな」と思ったら「アレクサ、エアコンをつけて」というだけ。リモコンに手を伸ばす必要もないし、作業中に手がふさがっていても照明をつけられるのは結構クセになります。
「SwitchBotカーテン」も導入し、カーテン開け閉めも声だけでできるようにすると利便性をより感じてもらえるはずです。
さらなるひと工夫も。例えば寝室で「アレクサ、おはよう」と言うと、リビングのエアコン暖房が稼働して、今日の天気予報や予定を読み上げてくれる。寝る間際に「アレクサ、おやすみ」と言えばテレビもエアコンも空気清浄機も全部まとめて消す自動化設定をしておくのです。
「寝た後に『あれ?エアコン消したっけ?』ってなっても、いちいちリビングに戻らなくても大丈夫だよ」といえば、きっとメリット感じてもらえると思います(寝室にもスマートスピーカーを設置する必要があります)。
家族写真やペットの写真をスライドショー表示

「Echo Show」や「Google Nest Hub」などのスマートディスプレイを導入したなら、その存在をアピールするのには写真が一番。私の実家ではGoogleフォトにアップしている写真の中から、ネコが写っている写真と家族写真だけを自動的にローテーション表示させています。その数300枚以上。昔の懐かしい家族旅行写真などもあり、気付くとつい目が釘付けになります。
スマートディスプレイに頻繁に目を向けるきっかけにもなりますし、親近感にもつながります。また認知症の進行とともに、人の顔を見ても誰だか認識できなくなっていきます。こうして家族写真が常に表示されていることで、「・・・どなたでしたっけ?」となってしまうのを遅らせる効果もあるんじゃないかなとちょっと期待しています。
食後の薬やデイサービスのお迎えをリマインド

設定により決まった曜日・時間に定型のメッセージを言わせることができます。これによってお薬を飲むリマインドをしたり、デイサービスなどの迎えが来る前の準備を促すこともできます。
家族が「あと15分で送迎くるから準備しなくちゃ」と言うと、完全に忘れていた場合でも「わかっているわよ!」「今やろうとしていたところなのに」と反発されたりしますが、AIアシスタントが「もうすぐお迎えがきます。荷物の準備をして玄関に向かいましょう」とやや機械的な声でいうと、割と素直に従ってくれるもの。
軽度の認知症であれば、きっかけさえあれば行動を起こすことができ、失念で自己嫌悪感を抱いたり、家族に同じ指摘を何度もされてプライドを傷つけられることも防げます。
日付や今日の予定を毎朝自動的に読上げる設定

毎日自宅で過ごす時間が長くなると、認知症関係なく、今日が何日で何曜日だかわからなくなることも。毎朝決まった時間に、「今日は○月○日○曜日です。予定が1件入っています。9時に・・・」など読み上げる設定にしてもいいでしょう。日時見当識障害の人にも有効です。
オンラインカレンダーには、デイサービスや病院の診察予定などを入れておきます。あまり予定がない場合には、テレビ番組表で親が好みそうな番組をチェックし登録しておけば、それもスケジュールと一緒に読み上げてくれます。「楽しみな予定」があれば真剣に聞く姿勢も生まれてくるはずです。
音楽やラジオ
「アレクサ、ジャズをかけて」「OK Google、◎◎◎の曲を流して」などで好きな音楽を楽しめることを伝えてみましょう。すぐ見ることができる場所に書いて貼っておくのもいいと思います。
ラジオも簡単に聞くことができます。「OK Google、TBSラジオをつけて」などでラジコを利用したラジオの視聴ができます。
Echo Showでビデオ通話をする
Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show」では「呼びかけ」という機能を使って簡単にビデオ通話ができます。これは同じアカウントでログインした端末同士の場合、「呼びかけ」をすると相手が特に応答のタップをしなくてもお互いの映像と音声がかわせるようになるというものです。高齢者とのビデオ通話にはとても便利な機能であり、見守りにも役立ちます。
「電話をしてもなかなか応答してもらえなくなった」時にも便利です。顔を見ての会話ができるのは親にとっても安心できるもの。毎日これを繰り返すことで、スマートディスプレイにも馴染んでくれるはずです。
大きなモチベーションになるのはやはり、「孫と顔をみながら話せる」です。お子さんにも協力してもらい、ぜひEcho Showでコミュニケーションする楽しさを実感してもらいましょう。
ちょっとずつできることを増やしていく
例えばニュースを聞く(見る)、株価や日経平均を教えてもらう、「今日は何の日?」と聞いてみる・・・などなど。一緒にいる時に「こんなこともできるらしいよ、今ちょっと試してみようか」と言いながら、新しい使い方を提示します。興味をもってもらえそうならそれをメモしておきましょう。

そしてある程度たまったら、シートを作ってプリントし、クリアファイルに入れたりパウチします。そうすれば次からは一人でもこれを見て同じ使い方ができるようになります。
このシートが段々増えてきたら、バインダータイプのクリアフォルダに入れたり、パウチしたモノをリングで留めるなどしてまとめてもいいでしょう。
大事なのは、親が本当に必要なものや実際に興味を示したものに絞った一覧を作ることです。スマートスピーカー/ディスプレイでできることを全部書き出したらキリがありませんし、多ければいいわけではありません。むしろぎゅっと絞ったほうがいい場合もあります。定期的に見直しながら、親のためだけにチューニングされた「活用ガイド」を作ってみてください。
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